「メデア」がいよいよ明日本番となりました。
この日を迎えることが出来るとは、正に感無量です。

立ち稽古が始まって暫くは、本当に初日を迎えられるのか・・・という不安ばかり感じていました。

とにかく暗譜が出来ない!!

自分の非力さを嘆きつつ、知恵熱と戦いながら(笑)1フレーズごと地道に暗記していく作業は、これまで経験してきた作品とは全く異なるものでした。

普通のオペラ作品は、ある程度難しくても練習すれば自然と体に入ってくるものですが、この「メデア」は不規則なリズム、慣れない音形、オーケストラとも音楽的に交わらないように感じる孤独さと戦いながらの勉強でした。

今回僕の演じるイヤソンはドン・ジョヴァンニの様に魅力的な部分もないし、スカルピアの様に完全な悪役イメージでもなく、男の持つ出世欲や人間的に弱い部分が露出した情けない役です。(過去は英雄だったんですが・・・)
でも役作りは楽しい作業でした。

素晴らしい共演者、マエストロ、演出家、スタッフ等に支えられてここまで来ることが出来、沢山の事を学びました。
どれだけ感謝してもしきれないほどです。
難しい作品に感じる部分もありますが、日本初演にこのメンバーで携われる大きな喜びを感じています。

明日はこれまで温めてきた事を感謝の気持ちを込めて、舞台にぶつけて行きたいと思います。
そして、この舞台に賭ける皆の気持ちやエネルギーを客席で受け取っていただければ幸せです。

やはり「難しい・・・」と敬遠されてしまっている部分もあるのか、当日券も沢山あるようなので、是非是非観にきてください。
きっと新たな感動に出会って貰えると信じています。

与那城敬